JUNOTA

<<NO.1>>

太田潤 2024-6
紙、アクリル絵具 130mm×130mm 2024-02-29
本ぽい絵 1 / 3

『長い眠りの町で』

 夢を見ている、のだと思っていた。けれど、どうやら違うみたいだ。だって、この町で暮らし始めてから1ヶ月以上経ってしまったのだから。この町で僕はヴーと呼ばれている。煙突掃除の仕事をしている。今日も一日働いて、くたくただった。
 缶ビールを飲みながら買ってきた弁当を食べる。テレビを付けると、荒野の上に広がるピンク色の空の中を一枚の敷布団がフワフワと飛んでいる映像が流れている。何が面白いのかよく分からないまま、僕はそれを眺める。鼻をかむとドロドロになった黒い煤がティッシュの中で踊っていた。風呂に入り、歯を磨いているといつものように観葉植物が話しかけてきた。
「今日も痛むのかい?胸は」
「まぁ、少し」
 僕はそう答えて布団に入った。